【JAL】特徴は良好な財務?/破綻はしない?旅客機以外に稼ぐ方法は?

企業分析

コロナによる打撃を最も受けた業界として連日報道される航空業界。都市封鎖や自粛が促される中、移動手段の提供を生業とする業界は苦しいはずです。

そんな航空業界の中でも「JAL(日本航空)」の本決算が4月30日に開示されました。

今回は日本航空の決算資料を読み解きながら企業研究していきます。


コロナの影響で航空業界が大打撃を受けたみたいだけど実際どれくらいなのかな?赤字ではないみたいだし…

そもそも飛行機を使う人がいないならどこで稼ぐんだろう?収益0円になっちゃうの?

JALは昔倒産したから怖いなあ…今回は大丈夫なの?

企業プロフィール

沿革

日本航空は1951年に設立された日本航空株式会社を起源としており、2年後に日本航空株式会社法により政府出資を受けて、新会社に移行しました。

直近で最も世間を賑わせたのが、リーマンショック後の経営破綻でしょう。

脆弱な財務体質であったことが災いし、2009年に赤字を計上した後、2010年1月に会社更生法の適用申請し、倒産しました。

規模

国内の航空業界ではANAHDと並び、不動のトップ2となっていますが、時価総額で比較するとANAHDの方が2割ほど大きい状態です(2020年5月現在)。

経営破綻後に不採算路線を大幅に削減したJALですが、国内線143路線、国際線571路線と少しずつ回復しています。

平均年収と役員報酬

平均年収平均年齢
2018年度828万円39.9歳

30後半の平均年収が400万円前半なので、かなり高めの水準と言えるでしょう。

取締役は9人で総額が4億8,400万円なので、単純に割ると1人当たり5,378万円です。

そのうち1億円を超える報酬を受け取っている人はいません。

事業内容

日本航空の抱える2つの事業
  • 航空運送事業
  • その他の事業

その他の事業には、旅行企画販売事業やクレジットカード事業が含まれます。

一般的なイメージ通りJALは航空運送事業の会社ということが表れている非常にシンプルなセグメント分けです。

また、たくさんの機体(エンジンや客室なども含む)を毎年減価償却しなければならないために、1,000億円超の減価償却費が計上されているのが特徴的です。

旅客機の減便で業績にダメージ

新型コロナウイルス関連のニュースでも連日報道されるように、国家間だけでなく県をまたぐ移動までに制限が掛けられたことで、3月の旅客数は激減しています。

国際線では70%、国内線でも55%もの利用者が減少したことで、JALを含む航空業界全体への悪影響は不可避です。

JALは元々国際旅客事業(約5,000億円)と国内旅客事業(約5,000億円)における収益のバランスがとれているのですが、国外だけでなく国内での制限も課されたことで優れたポートフォリオも機能不全となりました。

しかし、3月期決算の会社にとって2020年度決算は直近(4,5月)の業績を含まないこともあり、全体的な営業収益の減少は約5%に留まっています。

それにも関わらず、営業利益や純利益の段階で40~60%近い減益になっているところに、営業費用を抑えることが難しいことが現れています。

収益が21.3%と大幅に落ち込んだ第4四半期に注目すると、営業費用項目において大半の項目が収益の減少に対して、費用の削減ができていないことがわかります。

機材費や人件費のような費用の大きな割合を占める固定費を簡単に減らすことができないために、収益が減った分だけ最終的な利益に直接効いてくるのです。

まとめ
  • コロナショックで旅客数は約7割の激減
  • 国際線と国内線の収益は50%ずつの良バランス
  • 固定費削減が困難で利益減少

旅客機が物流ネットワークを支える

減便や旅客数の低迷が続く中で、2020年4、5月の収益は全くないのではないかと思えるほどですが、旅客機を物流に利用する動きを見せています。

2020年3月よりも移動制限が強まり旅客数が減っている一方で、旅客機を利用した貨物専用便運航数が激増していることがわかります。

3月と比べると約10倍にまで便数を増加させており、物流インフラへの需要から単価も上昇していることはJALにとって追い風です。

物流需要でどこまで旅客数の減少を補うことができるのか、そして難題である固定費をどこまで減らすことができるのか、この2つが今後のJALの命運を握ると言えるでしょう。

まとめ
  • 旅客機を活用した物流が活況
  • 物流インフラ需要の高まりで単価上昇

直ぐに経営破綻という不安はない

メディアで散々航空業界の苦戦が報道されているので、特に過去に例のあるJALは経営破綻が噂されてしまいます。

実際に、今後利益が出なかった場合にどれくらい余力があるのかを見ていきます。まずは、短期間で返さなければいけない負債(=借金)である流動負債です。

流動負債は2019年度末時点で約3,600億円あります。かなり多いようにも見えますが、返すために必要となる手元資金を見ると案外余裕なことがわかります。

現金及び預金が約3,300億円もあるのです。つまり、仮に利益が1年間0円であったとしても受取手形の何割かでも回収することができれば全額返済することが可能なのです。

そんな破綻の心配はないという決算短信を作成された経理担当者の方の強い思いが「会計方針の変更」表れていると感じました。

通常、キャッシュフロー計算書に記載する現金及び現金同等物には3か月以上の比較的長期な定期預金は含めません。しかし、破綻の噂がされる今、「お金ちゃんと持ってますよ!」というアピールのためにこのような変更を行ったのでしょう。

まとめ
  • 手元資金が潤沢なため直近で倒産の心配はない

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