【ガソリン価格を分析】原油価格がマイナスでもガソリン代があまり下がらない理由は?

資源・エネルギー

先日、原油価格がマイナスになるという驚きのニュースが駆け巡りました。

今回は、原油についてガソリン代を通して見ていきたいと思います。


石油が余ってるならストーブに使うから欲しいわ。なんでマイナスなんて価格がついたのかな?

ガソリンって原油からできてるよね?ということはガソリン代も下がるってこと?

原油について

そもそも原油とは

原油は、ガソリンやプラスチックといった身近なものの原料となり、産業の血液とも呼ばれるほど経済活動に密接した資源です。

その原油には採掘される場所の違いによって、取引所において以下の3種類に分けられています。

  • WTI原油
  • ブレント原油
  • ドバイ原油

採掘される場所の違いにより原油の質に違いはあれど、基本的には3種類とも似たような価格推移をします。しかし、2020年にWTI原油のみマイナス価格となりました。

ちなみに、石油の国内での用途は以下の通りになっています。

出典:東京ガス

自動車や航空機等の輸送分野での需要が半分近くを占めています。世界的に見ると、この傾向は更に強く、IEAによると石油の7割弱が運輸・輸送に利用されています。

先物取引とは

マイナス価格の原因を追究するためには、まず先物取引という概念を理解する必要があります。

先物取引とは、将来のある時点における商品を売買する取引になります。

例えば、秋が収穫期の米の先物取引を考えてみましょう。

ある年の3月31日、農家の男性が今年は豊作で米価が下がると考え、女性に米の購入を持ち掛けました。

すると、女性は冷夏で不作となり今年の米は例年より高いはずだと言い、500円で9月30日に米を買うことを約束しました。

それから半年後、女性の予想通り冷夏により米が不作となり、価格が高騰。市場価格は1000円になりました。

しかし、農家の男性は500円で売る約束をしてしまっているため、女性に500円で米を譲ることになりました。

マイナス価格の理由

原油も上記のように先物取引が行われており、毎月末に米と同様、受け渡しが行われます。

つまり、最終的に誰かがホンモノの原油を受け取るわけですが、冒頭にも述べたように石油は大半が輸送に使われる一方で、今は新型コロナウイルスの影響で誰も外出せず、飛行機も飛びません。

大量の原油を受け取っても売る相手がいませんし、保管にもコストがかかります。

そうなれば受け渡しの日に向けて、原油の押し付け合いが始まるのは想像できますよね。そのような一因もあり最終的に歴史的な原油安に陥ったのです。

ガソリンは税金の塊

押し付け合いまでしたのなら、原油から生み出されるガソリンもタダになる…ほど世の中甘くないものです。

ガソリン小売価格(一般財団法人日本エネルギー研究所)の推移は以下の通りです。

もちろんマイナスになることはなく、原油価格が暴落し始めた2020年1月頃からの下落率は14%ほどに留まっています。

もっと下がってもいいはずなのに…と感じる方も多いかと思いますが、このような価格で下げ止まる理由はガソリンの価格構成にあります。

出典:IEEI

驚くことに、ガソリン代のうち、原油CIF価格(為替変動等を含めた原油価格)は全体の1/3ほどでしかないのです。

つまり、ガソリン代の大部分が税金や手数料のため、原油価格がどこまで下がっても、ある程度の値段でキープされる構造なのです。

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