【大阪ガス】強みは積極的な海外政策?/関電と火花を散らすが海外でも稼ぐ!

企業分析

原料価格に振り回されるガス業界、東京ガスでは売上は減少するも、原料価格の低下で利益率が上昇するという微妙な決算でした。

そのような中で、ガス業界の次点「大阪ガス」の本決算が5月11日に開示されました。

今回は大阪ガスの決算資料を読み解きながら企業研究していきます。


東京ガスは減収増益だったけど大阪ガスはどうなのかな?

各社コロナで業績予想を非開示にする中で、70%超増益の好業績予想ってホント?

企業プロフィール

沿革

大阪ガスは1897年に設立され、1905年にガス供給事業を開始しました。

2018年から新グループブランドの「Daigasグループ」表記も多く見られるようになったため、Daigasで認識されている方もいるかもしれません。

電力自由化を機に大阪ガスが関西電力から電力需要家を奪い、関西電力が大阪ガスからガス需要家を奪い返すという激しい戦いは「大阪夏の陣」とも表現されました。

同じ関西圏という地域に近しい時価総額を持つエネルギー企業が存在するのは、他地域には見られない現象で、比喩される程の競争激化はこの特殊な環境にもよるのです。

その結果としてAmazonプライムやABEMAプレミアムとのセットプランのような新たな料金体系が他社に先駆けて続々と誕生しています。

規模

時価総額では業界一位の東京ガスに大きな差を付けられ、同じエネルギー業界で関西地域を管轄する関西電力にはわずかに及ばない状況です。

ガス販売量に関しては、ガス業界首位の東京ガスが139億立米に対して、大阪ガスは74億立米と半分ほどの規模感になります(2020年5月現在)。

平均年収と役員報酬

平均年収平均年齢
2018年度667万円43.3歳

40前半の平均年収が400万円後半なので、比較的高めの水準と言えるでしょう。

取締役14人の総額が5億600万円なので、単純に割ると1人当たり3,614万円です(2018年度)。

そのうち1億円を超える報酬を受け取っている人は誰もいません。

事業内容

大阪ガスの抱える4つの事業
  • 国内エネルギー・ガス事業
  • 国内エネルギー・電力事業
  • 海外エネルギー事業
  • ライフ&ビジネスソリューション事業

ライフ&ビジネスソリューション事業には、都市開発事業や情報ソリューション事業が含まれています。

ガス事業は、全電力・ガス会社に共通して顧客流出で売上高が微減しながら、原料価格次第で利益が出る年と出ない年があるという状態です。

電力事業に関しては、東京ガスと同じく売上高は大きく伸びているものの、営業利益は減少している状態から顧客獲得に営業経費等が大きくかかっていると思われます。

しかし、電力販売実績の伸びは低圧・高圧ともになかなかの勢いです。

今期は東京ガスと同じく減収増益

大阪ガスの2019年度実績は、売上高が微マイナスで営業利益がプラスです。東京ガスの決算を見られた方は気づかれたと思いますが、同じような動きをしています。

同じ期に同じ業界の企業が、似たような決算を出していれば原因同じと考えるのが鉄則です。実際に、利益の源泉を次の資料で見てみます。

今期の経常利益増加率36.3%のうち、「国内エネルギー・ガススライド影響」の項目だけで86%を占めていることがわかります。

これは、電力・ガスの販売価格を決定する仕組み上発生する、エネルギー価格の急落による利益になります。

エネルギー価格の下落(ガス会社にとっては原価低減による利益増)は東京ガスの記事にも記載しているのでご参考ください。

まとめ
  • 売上が減少してもLNG代が下がれば利益が出やすい

好業績予想の理由は海外事業の運開

2020年度は新型コロナウイルスの影響が最も強く反映されることもあり、決算シーズンでも各社業績予想を非開示としています。

そのような中で、大阪ガスは2021.3月期に最終利益74.7%の増加と強気な予想をしています。

この利益をどの事業領域から生み出す予定なのかを見ていきます。

上の図を見ると、利益増加分の大部分(223億円)が「海外エネルギー」の項目であることがわかります。

大阪ガスは多くの海外事業会社を持っていますが、様々な海外事業会社の中でも、アメリカにある子会社の損益増加見込みが約150億円もあることが記載されています。

このOsaka Gas USAが今後のカギを握っていそうな雰囲気がします。ここは2019年に以下のような動きがありました。

約650億円でシェールガス開発の米サビン社を買収、そしてフリーポートにてLNGの生産を開始しています。

大阪ガスは海外で原料(シェールガス)採掘から~フリーポートでのLNG生産~ガス小売という、一貫した流れの構築を急いでいます。

これにより国内依存度を下げるだけでなく、原油価格に左右されにくい(感応度が低い)事業構造を作り上げることが可能なのです。

感応度…原油等の資源を扱う企業でしばしば用いられる指標です。大阪ガスにおいては原油価格が業績に与える影響を指します。例えば原油価格が上昇すれば、ガス小売事業はエネルギー価格の上昇を、ガス料金に転嫁する時期が遅れることから損失が生じます。

実際に大阪ガスは、同業の東京ガスと比較して国内依存度が低く、感応度も減少傾向にあります。

このような海外への投資回収フェーズが2020年度になるため、強気な来期予想が可能になっているのです。

まとめ
  • 2020年度は強気な決算予想
  • 国内依存度と感応度の低下を狙う
  • 米国への積極的な投資の回収フェーズ

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