玩具やゲームセンター等、子供の頃に誰しも一度はお世話になった商品を取り扱うバンダイナムコHD。少子化が叫ばれて久しい中でも、意外なほど好業績が続いているのです。
そんな「バンダイナムコHD」の本決算が5月20日に開示されました。
今回はバンダイナムコHDの決算資料を読み解きながら企業研究していきます。

少子化で業績あまりよくなさそうだけどどうなんだろう?店も休業してたしコロナの影響も気になる!

バンダイと言えば「ガンダム」のイメージが強いけど、あれって子供に売れるの?やっぱり大人向けなのかな?
企業プロフィール
沿革
- 1950.7玩具製造会社として萬代屋設立
- 1961.7萬代屋からバンダイに社名変更
- 2005.9バンダイナムコホールディングス設立
旧バンダイと旧ナムコが合併
1996年の「たまごっち」や、2014年の「妖怪ウォッチ」関連商品など、社会現象を巻き起こすほどの商品を断続的に投入しています。
規模
玩具の製造販売事業を営む企業の中で、バンダイナムコは任天堂に続く時価総額を持つ業界大手企業です。
業界1位の任天堂と比較すると、時価総額では約4倍の差がありますが、売上高においては約2倍程度の差となります(2020年5月現在)。
任天堂 | バンダイナムコ | |
時価総額 | 5.8兆円 | 1.3兆円 |
売上高 | 1.3兆円 | 7,000億円 |
平均年収と役員報酬
平均年収 | 平均年齢 | |
2018年度 | 1083万円 | 46.6歳 |
40後半の平均年収が400万円後半なので、かなり高めの水準と言えるでしょう。ただしHDなので高めに出る傾向があります。

取締役は4人で総額が4億8,600万円なので、単純に割ると1人当たり1億2,150万円です。
そのうち1億円を超えるのは現社長と本部長2人でそれぞれ2億3,500万円と1億1,700万円です。また各子会社の社長も約1~2億円の報酬額となっています。
事業内容
その他の事業には、グループ各社へ向けた物流事業、印刷事業等が含まれます。

主軸となるのはゲームアプリや家庭用ゲームソフトを手掛ける「ネットワークエンターテインメント事業」と、プラモデルやフィギュアを扱う「トイホビー事業」です。
デジタルコンテンツやソフトがメインとなり原価率の比較的低い(=利益率の高い)「ネットワークエンターテインメント事業」が利益の約50%を稼ぎ出す事業構成のため、効率的な経営に繋がると考えられます。
2010年度から増収増益を継続
2019年度の業績は売上高がわずかに減少したのに対し、人件費や減価償却費が嵩み、減収減益となっています。
しかし減収減益とは言え、この消費低迷の時期にこの程度の落ち込みに抑えているのは素晴らしいです。

続いて影響を受けた事業をセグメント別業績で見ていきます。

主力のネットワークエンターテインメント事業が、減収減益となっています。
ネットワークエンターテインメント事業には、家庭用ゲーム機用ソフトの販売事業が含まれており、小売店の休業下では非常に厳しい戦いを強いられたはずです。
むしろ、小売店での販売をともなうトイホビー事業が増収増益で損失の大部分をカバーしたことが驚きです。
リアルエンターテインメント事業は、「太鼓の達人」のようなアミューズメント施設事業を含むため、2020年3月の休業が響き赤字を計上することとなりました。

ここまで2019年度の業績を見ても非常に底堅さの感じられる事業基盤であることがわかりますが、長期的な推移を見ると更に驚かされます。

2010年度から売上高は毎年増加、営業利益も右肩上がりと非常に好調なのです。
- コロナの影響で実店舗収益が悪化
- 多角化された事業ポートフォリオで底堅い
- 売上・利益が10年間右肩上がり
ハイターゲットと海外の市場開拓
少子化により玩具市場規模が伸び悩む中で、非常に好調な業績の背景には2つの戦略があります。
1つ目の戦略がハイターゲット市場の開拓です。
ハイターゲットとは大人向けを指しており、主にマニアやコレクターをターゲットとした市場となります。既に準主力のトイホビー事業売上高のうち約40%は大人向け商品が生み出しています。

国内トイホビー事業におけるアニメ別の売上を見ると、「機動戦士ガンダム」や「DRAGON BALL」等、大人世代にウケる商品が大きく稼いでいることがわかります。
2つ目の戦略が海外市場の開拓です。
2019年度において、全売上高に占める海外売上高比率は20%超となっています。

現状では海外比率はそこまで高いとは言えませんが、伸び悩む国内市場を補い成長に繋げることができているのです。
近年は中国市場を重点地域として設定しており、2018年度の売上高180億円から、2019年度は248億円に着実に成長させています。
- 大人向けの商品がトイホビー事業の売上4割を占める
- 海外での売上高割合は2割と緩やかな成長フェーズ
- 近年は中国を重点地域に設定
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