【アイシン精機】強みはVC制による総合力?/生き残れるか否かの時代に突入!

企業分析

若者の車離れという言葉がメディアで叫ばれる昨今、伸び悩む国内自動車市場に自動車部品メーカー各社も厳しい戦いを強いられています。

特に100年に一度とも言われるCASE革命の中で、部品の種類によってはシェアの奪い合いどころか、消滅の危機に瀕する企業も出てきています。

そんな自動車市場の中でも、「アイシン精機」の本決算が4月30日に開示されました。

今回はアイシン精機の決算資料を読み解きながら企業研究していきます。


営業利益が70%以上減少したみたいだけど、なんでそんなに下がったんだろう?

トヨタグループ企業だからやっぱりトヨタへの依存率は高めなのかな?

企業プロフィール

沿革

歴史
  • 1943
    航空エンジン量産のため東海航空工業設立

    トヨタ自動車工業と川崎航空機工業の共同出資で設立

  • 1945
    愛知工業に社名変更

  • 1965
    兄弟会社の新川工業と合併し、アイシン精機設立

社名に含まれる「アイシン」は、「愛知工業」と「新川工業」それぞれの頭文字「愛」と「新」を組み合わせたものです。

2021年4月には、子会社のアイシン・エィ・ダブリュ(AW)と経営統合の末、社名を「アイシン」に変更することが発表されています。

規模

国内の自動車部品メーカーとしては、デンソーに次ぐ規模の業界大手企業になります(2020年6月現在)。

アイシングループの中でも、アイシン・エィ・ダブリュの成長は著しく、オートマチックトランスミッション(AT)やカーナビのシェアは世界トップクラスです。

ちなみにアイシン・エィ・ダブリュはアイシン精機の子会社という位置づけですが、従業員数で比較すると、アイシン・エィ・ダブリュの方が多いことがわかります(2018年度末)。

アイシン精機アイシン・エィ・ダブリュ
従業員数14,439人19,890人

平均年収と役員報酬

平均年収平均年齢
2018年度750万円39.2歳

30後半の平均年収が400万円前半なので、かなり高めの水準と言えるでしょう。

取締役は14人で総額が6億5,100万円なので、単純に割ると1人当たり4,650万円です。

そのうち1億円を超えるのは会長の1人で1億400万円です

事業内容

アイシン精機の抱える5つの事業
  • パワートレイン事業
  • 走行安全事業
  • 車体事業
  • 情報・電子事業
  • エネルギー・住生活事業

アイシン精機には上記5つの事業を抱えていますが、決算上の報告セグメントはグループ会社別になっています。

売上・利益ともに大半をアイシン精機アイシン・エィ・ダブリュで稼ぎ出しており、事業別だと大部分がパワートレイン事業になります。

パワートレインとは、主要自動車部品の一つでエンジンやトランスミッションと言った、動力を生み出しタイヤの回転に変えるための一連の装置を指します。

またアイシン精機は2017年からバーチャルカンパニー(VC)制を導入しており、多くのグループ会社を跨いで仮想の事業部を設置しています。

これにより、グループ企業のリソースを効率的に活用が可能となり、総合力の発揮に繋がると考えられます。

売上減少により利益が激減

2019年度の決算は、売上が6.4%の小幅減少であった一方で、営業利益は72.7%の大幅減少となっています。

営業利益が大幅に減少した理由には、売上の減少と新型コロナウイルスによる一過性の打撃があります。

意外にも新型コロナウイルスによる影響はそれほど大きくなく、わずか6.4%の売上減少が営業利益に大きく影響していることがわかります。

つまり、営業利益率が下がっているのです。四半期ごとの営業利益率の推移を見ると、2016年度は7%台であった一方で、2019年度は2%台まで急落しています。

これは設備投資や減価償却が増大していく一方で、2018年度から売上の成長が鈍化したことで、利益が出にくい体質になっていることを意味します。

投資が積極的なのは非常に好印象ですが、売上の伸びが見込めない現状での積極性は不安定さが否めません。

2021年4月のアイシン・エィ・ダブリュとの経営統合も、伸び悩む売上を鑑みて、増え続ける費用を効率化することで、営業利益率を高めることも目的の一つだと考えられます。

まとめ
  • 2018年度を機に売上成長が鈍化
  • 設備投資や減価償却が嵩み、低利益率体質に

生命線はトヨタの生産台数

売上に占めるトヨタの割合が過半数を大きく超えているアイシン精機にとって、トヨタの自動車生産台数は非常に重要な指数になります。

2019年度の前期比減少分の2586億円のうち、中国民族系向けの売上が1167億円と半分近くを占めていることから、中国における売上が激減したことがわかります。

これは中国ではコロナウイルスによる影響が1~3月に集中しており、2020年3月期に直接的に影響を与えたことによります。

つまり他の地域の影響は2020年度の決算に直接的な影響を及ぼすため、2020年度決算も2019年度同様またはそれ以上の悪化が予想されます。

また国内市場が伸び悩む中、海外展開を進めるトヨタですが、国内外の生産台数は4年間僅かに減少しており、成長とは程遠い数字となっています。

まと
  • 売上の過半数はトヨタグループ内部由来
  • 2019年度の売上減少理由の大部分は中国

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